高橋歩

久しぶりに血が騒ぐ、肉踊る生き方をする人間を見つけた。

彼は20代にしてバーを経営し、出版社を作り、世界一周旅行に出掛け、今では沖縄で島プロジェクトと題して楽園を作ろうとしている。

彼の名は高橋歩。

〜株式会社のダレソレという前書きのない高橋歩。

会社で2，3年修行するという俺のプロジェクトさえチンケなものに思える。彼は自分で会社を作った。

彼のことを想像すると興奮する。
楽園をつくるなんて俺の考えていた将来以上のビックプロジェクトだ。俺もやってみたくなった。
全てを投げ出して彼のもとで楽園作りに携わったら
俺はもっと輝けるんじゃないかって。

ミミチク数字のことばっか口にしている上司の声を
遠くに聞きながらそんなことを夢想していた。

彼のプロジェクトは企業で働く人々がどんなにあがいても到底かなわないほど俺にとってはビックに思えた。
楽園プロジェクトとのことを考えるとすべてのことがちっぽけに思えた。
彼はいわば一つの国を作るのに似た作業をしている。企業人にない自由を感じた。

まだ見ぬ人、高橋歩。

だから会ってみよう。
彼が本物かどうか、会ってみれば分かる。
本物なら俺の生き方も変わるかも。
ともかく会って確かめてみよう。